DB06 をシャコタンにする

HKS HIPERMAX Touring + DB06

シャコタンとはいえ、あくまで合法スタイルなのでベタベタにする話ではないです。

DB型スープラにおける車高

諸元値の最低地上高 117mm から保安基準の下限 90mm までが 27mm しかなく純正状態でも比較的車高が低い部類。

ダウンサスを選択する理由

ショック交換式の車高調に対し、価格面のメリットもありますが、純正の Mアダプティブサスペンション(BMW風に)を生かしたいという点があります。

スープラはかなり乗り心地が良い部類のクルマで、純正はいい意味で尖っていないサスセッティングです。とはいいつつスポーツモードで減衰高める(硬く)ことも電子制御でやってくれます。
ショック交換式の車高調だと、この電子制御が失われます。
電子制御付きの社外品も存在しますが、信頼性の観点や価格面で私のようなカジュアル層には敷居が高いのです。

代表的なダウンサス

私が知る限り以下の商品があります。

  1. HKS HIPERMAX Touring (車高調整可能)
  2. ST HAS (車高調整可能)
  3. RS★R SUPER DOWN (車高固定)
  4. ESPELIR スーパーダウンサス (車高固定)
  5. H&Rローダウンスプリング (車高固定)
  6. Eibach PRO-KIT (車高固定)
  7. AC Schnitzer スプリングキット (車高固定)

HKS HIPERMAX Touring と ST HAS は単純なバネ交換ではなく、前後に純正ショック対応の車高調正ブラケットが付きます。

そのほかはスプリングのみの交換となるので、車高調整ができません。
傾向としては 15~20mm くらいのダウン量となるようです。

日本国内では HKS の入手性は高く、ネットを見る限りでもDB型スープラのダウンサスの装着率シェアは一番高い感じです。
また、メーカーとしても他メーカーより信じられそうです。
(なんとなくですが)

2019年の DB42 型登場当時から発売中で、2023年に DB06 型にも適合となっています。
群サイドリオさんがセッティング出したという触れ込みですが、シチュエーションもドライバーもこの際どうでも良い感じです。
2年40,000Km保証付き。

HKS HIPERMAX Touring
(商品画像: HKS)

それにしても、「たがが」ダウンサスにしては高い(約13万)と思いますけど。

HIPERMAX Touring 装着前後比較

先日、地元 GR Garage で装着。
装着前後での車高及び出荷状態での実際のダウン量を測定した結果は下図のようになりました。

HKS HIPERMAX Touring 装着前後比較

HKS の HIPERMAX Touring (スペイン語?) のダウン量は型式によって少しづつ異なるのですが、「DB06 は出荷時フロント 29mm ダウン」とされます。
(リアは最低地上高には余裕があるのでこの際無視)

諸元値どおりだと 117 - 29 = 88mm でディーラー入庫不可となります。
なお、事前に測定した最低地上高の実測値は 126mm だったので、出荷時設定を信じると。 
126 - 29 = 97mm でディーラー入庫可能ということになります。
諸元値が実測最低地上高 126mm に対し 11mm 少なめなのは、もしかしたら定員(2名)乗車が状態かもしれません。また、DB06 は AT と MT ではミッションの重量差と思われる車体重量差が 10kg 程度あるのでもしかして、カタログ値は AT の値なのかもしれません

最低地上高実測

しかし装着後の最低地上高の実測値は
  • GR Garage 計測で 100mm 
  • 自宅ガレージで実測すると、99mm
でした。
つまりここだけ見ると、25~26mm ダウン?

フェンダー頂点とリム下端で実測

きっちり 30mm ダウンです。

Front
before:639mm / after:609mm

結局出荷時設定って?

メーカー出荷時のダウン量は表記揺らぎがある上に、DB42/02/06 適合品と言いながら商品コード(80280-AT001)は全部同じで、作り分けているわけでは無いように見えます。
で。結果的につるしの状態で装着してからの実測値から逆算してみます。
  1. 商品ページ
    1. F:-25mm / R:-18mm
  2. 取説(p.19) 
    1. 出荷時 F:-29mm / R:-21mm
    2. テスト時 F:-25mm / R:-19mm
  3. 実測値から実測値から逆算した推測出荷時設定
    1. 最低地上高ベースだと F:-25mm / R:-19mm
    2. フェンダー頂点・リム下端ベースだと F:-29mm / R:-19mm

結論

多分 F:-25mm / R:-19mm

HKS HIPERMAX Touring + DB06


購入をご検討中の方へ

これ。商品単価は税込み約 13万 ですが、別途取り付け工賃等が発生することを忘れてはいけません。
GR Garage で装着する場合多分、コミコミ 30万 用意した方が無難です。
タイヤ系のショップならもう少し安いと思います。

個人的にはディーラー入庫できることが確約されたショップでの取り付けをお勧めしますが、逆に技術力や取り付け経験数ではタイヤ系あるいは馴染みのチューニングショップ系が良いかもしれないですね。

一般人にとってチューニングショップは敷居が高いイメージがあるので、タイヤ系はその点入りやすい傾向かも。

私は、S2000 でお世話になっていた ジェイズレーシングさん に持ち込むという選択肢もありましたが、一応「ホンダ専門みたい?」なので、今回は持ち込みませんでしたが、ひょっとしたらできたのかも?今度確認してみますw

車高を下げると起きる事

車をいじりだすと起きる現象ですが、1か所いじるとほかのバランスが気になります。

  1. 乗り心地が悪化
  2. 光軸のずれ
  3. アライメント
  4. タイヤがツラウチ(内側に入り込む)
  5. ロールセンターの移動に伴うロール剛性低下の恐れ
  6. 各種安全装備(自動ブレーキなど)の誤動作の恐れ
結局のところ対策部品の取り付け及び調整という付帯作業が発生することになります。
車高を落としたばかりに余計な事に出費が発生するというわけです。
やはり現代のクルマは純正からいじるべきではないかもしれません。

乗り心地が悪化する?

バネレートですが、純正バネレートはHKSの動画より引用
  • 純正 F: 3.0 kgf/mm / R: 9.2 kgf/mm
  • HKS HIPERMAX Touring F: 4.3 kgf/mm / R: 11.9 kgf/mm
ショック自体の減衰は同じなので、単純にバネレートが上がったのですが、実際のところ体感できるような乗り心地の悪化は感じられませんでした。
レビューによっては「悪化した」とおっしゃる方もいらっしゃいましたが。

S2000 の時は、前後 6インチ の 20kgf swift スプリング を ピロアッパー + CRUX の車高調に装着していましたが、それでも乗り心地良いと感じていましたので、麻痺しているかもしれませんw
S2000

光軸


ヘッドライトのオートレベリングセンサーは前後にあるようなので、フロントがちょい下がり気味だと光軸は上向きになります。逆もまた然り。
これを調整する必要があります。
2とおりのやり方があります。
  1. ヘッドライトユニットのエイミングスクリューで調整
    1. メリット: コンピューターリセットはしない
    2. デメリット: ダウン量・前後バランスによっては調整限界がある
  2. コンピューターリセット(ゼロウィング)
    1. メリット: エイミングスクリューを触らない
    2. デメリット: 光軸以外にもいろいろリセットされるw
      専用の診断機が必要(Bimmer Link でも不可)
今回は、GR Garage で作業をお願いしましたが、エイミングスクリュー調整で光軸適正値
に調整出来ましたので、リセットはされませんでした。


アライメント


単純にダウンすると、
  • ネガキャンが付きます
  • トーアウトになります
DB06 の適正アライメントは、前後ともほぼゼロトー(実際はトーイン0.8くらい)。
キャンバーも前後 -2.0度(+- 0.5) 程度です。
(余談: DB42 / DB02 はトーアウトがデフォ)
どの値にするにしても、好みですが左右差も発生するのでなるべくアライメント調整した方が良いでしょうね。
とはいえ、DB型スープラはフロントキャンバー調整不能なんですけど。
この点、アッパーマウント交換できる車高調が融通効きますね。
H&Rスペーサー F:10mm/R:13mm
自宅ガレージにて

タイヤがツラウチ


車高が下がると、サスアームのボディ側取り付け点を中心にサスアーム先端が上方向に移動することで、タイヤがよりフェンダー内側に入り込みます。
純正状態でも結構安全マージン(ツラウチ)がありますから、余計に強調される感じになります。
H&Rスペーサー F:11mm/R:13mm
自宅ガレージにて
選択肢としては以下の3択となります。
  1. 気にしない
  2. スペーサー入れる
  3. オフセット(インセット)の浅いリムに交換する
私は、2番。
これも定番商品のH&R社製のスペーサーを入れました。
ツライチは格好いいですが、ハミタイギリギリを責めると、ディーラー入庫拒否リスクが高まりますから、私はGRガレージのおすすめの F:11mm/R:13mm です。

これもネット上では F:13mm/R:15mm でも大丈夫説があったりします。
しかしかなり「きわどい」線なのでディーラー入庫を確実にしたい場合 F:11mm/R:13mm が現実最適解と思います。
とはいえ、スペーサーなのでいざとなれば外せば良いとも言えますが。

半年点検時にディーラーにて検査してもらいましたがタイヤはみだしは問題なし。 めでたくディーラー公認。ただし、「リアを30mm以上下げると記載変更」が必要になるとくぎを刺されました。(これ以上落とさないと思うけど) 
さらに、スペーサーの分長いホイールボルトも必要になります。
国産ハブボルト式よりは安全でお手軽ですが、部品そのものは必要です。

純正ボルトは首下 27mm なので、+スペーサー分のものを選びます。
強度も心配なのでなんとなく安心感のあるメーカーにしましょうw
私は H&R社の M14xP1.25, 40mm ボルト+McGuard M14xP1.25,42mm を使用。
(多少長めでも大丈夫)
ついでに、スレッドコンパウンドも塗布。
スペーサーとボルト類でこれも結構な出費と重量増になります。

「加速が鈍った」とか、「重たく感じる」といったレビューもあるみたいですが、個人的には「なにも感じません」w

自宅ガレージにて

GR Garage にて
(暗くてよくわからんw)
屋外にて

ロールセンターの移動に伴うロール剛性低下の恐れ


この車はフロントサスペンションがストラット、リアがマルチリンク(ほぼダンブルウィッシュボーン?)です。
リアはちょっと難解なのでフロントを考えると
  • 車高が単純に下がるとロールセンターは下方向に移動する
  • トレッドが広がるとロールセンターは上方向に移動する
  • ロールセンターが車体重心と離れるとロール剛性は下がる
といえます。
今回、HKSダウンサスでフロントは 25mm ダウン、トレッドは H&Rスペーサーで 22mm ワイド(左右合計)になったので、ある程度相殺されていると考えられます。
よってロール剛性はそれほど悪化していない気がしています。
が、正確に測ったわけではないのであくまで理屈上です。


S2000の時はサスペンションの性質とかショップがちゃんと把握していて、オリジナルの補正パーツも用意してくれました。
この車で困るのはそういうショップに出会えていない点です。

GRガレージがあるんじゃん

という期待はありましたが、期待外れです。

GRガレージ構想は、「町の車屋さん」という触れ込みですが、よく考えると意味がわかりません。
作業をいくつか依頼してみた個人的感想は。

「ディーラーと同程度かオートバックス程度」です。

特にGRブランドの車両に対してチューニング屋みたいなノウハウを持っているわけでも無く「一見チューニングショップ風のファシリティを持っているだけのトヨタディーラー」に感じました。

他社のクルマでもメンテできるっていうのを売りにしていますが、普通のディーラーだって見ますよ。他社のクルマでも。
もちろんオートバックスでもw

元来クルマの改造とかチューニングっていうのは、グレーな部分が多いので、いわゆるチューニングショップっていうのは非合法な作業を(客と)暗黙的に認め合ってやっちゃう部分があったんですが、GRガレージは「単なる既製品の取り付け屋兼公認工場」に終始している感じで、それこそ「カスタム」と呼ばれるライト層向けの店舗なんだなあという感じです。

法令違反して「指定 or 認証取り消しが怖い」っていうのがあるんだと思います。
が、お客の欲するものすべてが合法かどうか?ってのは難しいところですよ。
きっちり合法を追い求めると商機を逸する可能性ありますよね。
小さい店だとどうしましょうか?生き残れないかもですね。

一方で、最近のクルマは車そのものが「ノーマルの状態から一切手を加えないでくれ」オーラでてますよね。

そういう時代においては昔のような「チューニングしたい」ニーズというのは次第に消滅していき、見た目だけの「カスタム」ニーズくらいしか残らないんだけど、なんかモータースポーツカルチャーを発信することで、客が「チューニングした感じ」になれる店。
それが GR Garage かな?


後日談

フェンダーの白いところが気になるw

PP板で目隠ししてみました。