DB 型スープラの車台番号とVIN とコネクティッド サービス

言葉の定義と備忘録

まあまあ知らないことが多かったので、いろいろ調査した。

 VIN

自動車個体(車両)そのものを識別するために付与される一意の番号。ID。
ISO-3833 により規定される。
しかしながら、日本国内で販売される車両に関しては VIN が採番されず、車台番号がこれに該当する。(例外はあるようだ)
スープラに関しては、製造を Magna steyr 社が行っている関係か、外車に近い存在で、VIN が採番される。
日本向け仕様に関してはさらに輸入・販売をトヨタが行っているため、車台番号も採番される。
VIN =  17桁の大文字英数字 ("I","O","Q" は使用不可)

車台番号(車体番号)

  • 日: 国土交通大臣が車両個別に与える番号。ID
  • 日: 車台への打刻が義務付けられる
  • 日: 製造者または運輸支局以外が打刻してはならない
前述のように、日本国内で販売される車両における VIN 相当の ID である。
車台に打刻(刻印)されており、これを改ざんすると道路運送車両法違反となる。
車台番号 = 自動車製作者が定めた記号 + "-" + 5~7桁の数字 で表される。

2024年式 DB型スープラRZ マニュアル仕様は DB06-9999999 となる。 

型式

  • 型式 =  A + "-" + B + "-" + C
    • 自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号(A
    • 自動車製作者が定めた記号(B)
    • オプションコード(C)
  • 2024年式 DB型スープラの型式は以下の通り
    • RZ(MT): 3BA-DB06-MURW
    • RZ(AT): 3BA-DB06-ZURW
    • SZ-R: 3BA-DB26-ZTRW
    • SZ: 3BA-DB86-ZSRW
  • 車検証上の型式 = A + "-" + B
    • オプションコードは付与されない

A:自動車排出ガス規制及び低排出ガス車認定の識別記号

2024年式スープラは平成17年規制以降の対象となり、識別記号は 3BA となる。
3: 平成30年規制達成率=なし
B: ハイブリッドシステム=なし 
A: 平成17年規制のディーゼル車以外=Yes

を表す。

 また、記号は自動車が制作された時点の規制により変化する。

B: 自動車製作者が定めた記号

製作者が付与する記号であり、製作者により異なる。通常、変速機、原動機、駆動方式、排気量などを識別するようにする。製作者の発行するカタログや諸元表などと共に公開される。2024年式スープラの場合は以下のようになる。

  • RZ: DB06
  • SZ-R: DB26
  • SZ: DB86

A90 とか A91 などの表記は 歴代 セリカXX 系の 型式が A60,70,80 という体系の型式だったため、後継車種にあたる DB 型スープラに A90 型という型式を付与したかったという思いからのファンタジー型式。(たぶん)

実際、まったく関係のない型式となっている。(実際、トヨタのカタログやプロトタイプラッピングにも A90/91 という表記が出てくる)

ちなみに、兄弟車 BMW Z4 の開発コードは G29 で、DB型スープラも J29 という開発コードだった。開発コードもまた、型式には反映されていない。

また、Supra Connect 上には SPX 40i (RZ) SPX 30i (SZ-*) などと表記されるが、これは BMW 側から見た「車名」のようだ。

Z4 の場合は Z4 M40i などと表示されるらしい。


 

C: オプションコード

  • RZ(MT): DB06-MURW
  • RZ(AT): DB06-ZURW
  • SZ-R: DB26-ZTRW
  • SZ: DB86-ZSRW

B に続く形で仕様を表すコードとなるようだ。詳細は情報が無く下記は不正確な情報である。

  • M: トランスミッション (M=6MT/Z=8AT)
  • U: エンジン仕様
  • R: 右ハンドル
  • W: 謎

自動車登録番号(普通車の場合)

  • 日: 車台番号 と所有者・利用者情報・累積走行距離等を紐づけたもの
  • 日: 自動車登録規則にて定められる
いわゆるナンバープレートに表示される記号。
  1. 地域名
    • 陸運支局の「所在地」または「ご当地ナンバー名」
  2. 分類番号(3桁数字)
    • 1桁目: 用途・大きさ
      • 1=貨物
      • 2=乗車定員11名以上の普通車
      • 3=乗車定員10以下の普通車
      • 4,6=小型貨物自動車
      • 5,7=小型自動車
      • 8=特殊自動車
      • 9=大型特殊自動車
      • 0=建設機械
    • 下2桁: 希望 (抽選ナンバー除く)
      • 上一桁=1,2,3: 10~98
      • 上一桁=4,5,8: 10~79
      • 上一桁=6,7: 00~79
  3. 区分(ひらがな又はアルファベット)
    • 事業用: あいうえかきくけこを
    • 自家用:さすせそたちつてとなにぬねのはひふほまみむめもやゆらりるろ
    • レンタカー: われ
    • 駐留軍人用: よ、EHKMTY
  4. 一般指定番号(4桁数字)
    1. 1~99-99
    2. 3桁以下の場合は "・" 埋め
    3. 4桁の場合のみ "-" ハイフンあり
で構成される。
自動車検査証(車検証)または記録事項にも記載される。

自動車登録番号標

    • 日: ナンバープレート
    • 道路車両運送法により表示が義務付けられる

コネクティッドサービス

いわゆるコネクティッドカー(DCMを搭載した常時インターネット接続車両)向けの各社のオンラインサービスの総称。

トヨタ(トヨタコネクッティッド社)では T-Connect サービスを提供しているが、DB型スープラの場合はこれをを使えず、BMW社のコネクティッド・ドライブサービスを利用することになる。(コネクティッド・ドライブの運営会社は不明)
また、サービスの利用開始時は、VIN と ユーザーアカウント(ID) を紐づける必要がある。
(別途「セキュリティコード」なるワインタイムパスワードあり)

BMW コネクティッド・ドライブサービス は DB型スープラ専用のバリアントを持っており、これを Toyota Supra Connect powered by BMW ConnectedDrive とし、Toyota Supra Connect と呼ぶようだ
(「表記揺らぎ」がある)

Toyota Supra Connect > 著作権/免責事項
アカウント作成時の同意事項「一般取引条件」でも名称が統一されていない。

各所で BMW を隠す気がさらさら無いのでアレだが確認してみるとやはり BMW ドメイン内で運用されている様だ。

Toyota Supra Connect サービスは、エンドポイントのドメインを「トヨタっぽく」するため、リージョン別に複数のドメインを持っている。
このドメイン (toyota-supraconnect.jp, com 等)の whois 情報を見るとトヨタ自動車登録で、連絡先は bmw.de ドメインとなっている 。

日本国内の一覧にすると以下のようになる。
サービス提供者サービス名アカウント名エントリポイント
TOYOTA
T-ConnectTOYOTA IDhttps://toyota.jp/tconnectservice/
BMW Japanコネクティッド・ドライブBMW IDhttps://customer.bmwgroup.com/oneid/#/login
BMW JapanToyota Supra Connect powered by BMW ConnectedDriveBMW ID
(表記; TOYOTA ID)
https://www.toyota-supraconnect.jp/
https://www.toyota-supraconnect.com/


アカウント名がとても分かりにくい

Toyota Supra Connect サービスのドキュメント およびWebサイトはこのアカウントの呼称にも「表記揺らぎ」がある。
  • 新規登録時: TOYOTA ID / Toyota ID 併記
  • コンファーム時: Toyota ID
  • 車両登録後: Toyota Supra Connect アカウント
  • ログイン時: TOYOTA ID / Toyota ID 併記
新規登録時


コンファーム時


車両登録後
ところで、「車台番号」ではなく「VIN」のマチガエでは?

ログイン時


BMW ID と表記できないので、TOYOTA ID とした説。

がゆえに、T-Connect 用の TOYOTA ID とも同一に思えるが実際は無関係?。
(同じメアドで TOYOTA ID 作ってあったけど、Supra Connect 側にも同じメアドで新規登録出来た)
一部 BMW Connect 側をそのまま(コンファーム等)使用しているので時々 BMW ID となる。

ユーザーに不要な混乱を招く状態と言わざるを得ない。

本質的にはちゃんと l10n つまりロカライズ(地域化)すべきであるが、各所の調整がやりにくいんだと思われる。

DB型スープラではあくまで「BMWのクルマ、BMWのサービスなんだ」と認識しておくべきと思われる。 

BMW ID (表記上は TOYOTA ID) 登録時に必要な情報

  1. 氏名
  2. メールアドレス (ID)
  3. パスワード

Toyota Supra Connect にて車両登録時に必要な情報

BMW ID でサービスにログインしている状況下で、車両を登録することで紐づけが完了する。

  1. VIN (Toyota Supra Connect サービス利用説明書) に表示される
    1. 車両引き渡し時に廃売店からもらえる模様
    2. 車両側の刻印は未確認
  2. セキュリティコード (DCM を通じて車両側に表示されるワンタイムパスワード)
車両側: Connect Serv. > メッセージ > マイインフォ > Toyota supra Connectセキュリティコード (supraは小文字w) > 「~はこちらです:999999」 (6桁の数字)

 

Supra Connect Service ユーザー登録マニュアルより

DCM

DB型スープラには DCM (Data Communication Module) (≒インターネット車載機) が標準装備される。

トヨタ版(デンソー製)なのか BMW 版なのか詳細は不明。
DCM には通信事業者発行の eSIM もしくは SIM が搭載され、4G または 5G 回線でインターネット接続する。
このインターネット接続はあくまでコネクティッドサービスの一環であり、ユーザーが直接的に利用できない。
(アクセスポイントやテザリングはできない)
回線使用料はメーカー(これまたトヨタなのか BMW なのかは不明)が負担となる。

また、日本国内における通信事業者も不明。
(トヨタ版の DCM は au 回線を使うので、スープラもまた au の線が濃厚ではある)

トヨタとauは資本提携関係にある。

何ができるの?

他社も含め、現代のコネクティッドカー自体あまり大したことはできない。
また、インターネットガジェットとしてのレスポンスも良くない。

DB型スープラは Apple CarPlay にのみ対応し、Android Auto には対応しない。
また、Apple CarPlay 利用時の Google Map や Apple Map アプリのインターネット通信は HOST (iPhone) 側の回線を使用する。(DCM経由の通信はできない)

また、DB型スープラでは OTA (Software Update Over The Air)には非対応。
車載 DME (Digital Motor Electronics) の書き換えはディーラー等で実施する必要がある。
(ドイツ車においては ECU を DME と呼ぶことが多いようだ?)

車載ナビゲーションの地図データ更新も DCM 経由では行えず、PC経由で USB メディアを介して行う仕様。
CarPlay 側のナビアプリ経由では地図更新を行う必要が無いが、メータークラスターおよびHUDに地図情報などが表示できない。(中央ディスプレイのみ)